表現の自由の限界の続きです。
表現の自由の限界は、プライバシー権の侵害、名誉毀損そして検閲があります。
検閲はかなり厳しく制限されており、憲法で完全に禁止とされています。
しかし事前抑制については原則は禁止であるが例外的に認められています。
ここで検閲と事前抑制とは何かということです。
これは事前抑制という大きな枠の中に検閲があるのです。
ベン図にするとわかりやすいですね。
ではこの事前抑制と検閲ですが、大きな枠組みの事前抑制から。
これは例外的に許されるといっても、その要件はかなり厳しいためめったに認められることはありません。
具体的に何かというと、本や雑誌などが実際に世に出る前に差し止められることをいいます。
本として出来上がってはいるのですが、その内容が不適切とのことで厳しい要件の下で認められます。
もちろん文学的な表現の自由はありますし、こうした表現を受け取るのは自由です。
またメディアリテラシーをもって活字に触れることでどのような表現の本でも適切に受け取れるはずです。
しかし、それが限度を超えた例があります。
昭和61年6.11「北方ジャーナル」事件
北方ジャーナルという2万部ほど刷られている影響力の大きい雑誌です。
ここに北海道知事選挙に立候補予定であった元某市長へのとんでもない誹謗中傷が掲載されました。
その内容は本当にこれはどうなんだという内容で正直かなりレベルの低い誹謗中傷です。
ですがこれに大きく影響されるのが日本国民、読者の人たちです。
結論は差止め処分が下されることとなりましたが、判旨の中出事前抑制の要件などが述べられました。
まず最初に本件は司法裁判所から発せられるものなので検閲にはあたらないとされました。
これは検閲ではない、では事前抑制はどうか。
事前抑制は原則として認められていませんが、例外的に認められます。
その例外というのが
表現内容が真実でなく、又それが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるとき
です。
この例外として認められる時、口頭弁論または債務者の審尋を経ないで差止めの仮処分命令は合憲となります。
これは公人への侵害の場合です。
私人への侵害については原則・例外によるものではなく、利益衡量による判断になります。
詳しくは「石に泳ぐ魚」事件で述べられました。
これに関してはまたまとめていきます。
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