刑法「実行行為」

法律

構成要件

犯罪の中でも故意犯の成立要件の中の一つ「構成要件」の中の最初の要件が実行行為です。

ただその人が行ったことということですが、いろいろな状況により様々な論点があらわれてきます。


実行行為

実行行為の定義は

「基本的構成要件に該当する(狭義の)行為」をいいます。

そのまま犯罪を構成する要件の中に該当する行為のことです。

そしてそれは実質的に

「法益侵害惹起の現実的危険性を有する行為」のことです。

法益侵害惹起の危険性とは、法益を実際に侵害されるおそれのある行為のことです。

例えば、物を盗まれる(窃盗)行為は自分が所有している物が失われるという法益侵害があり、盗む行為がその法益侵害にかかる行為ということです。


この実行行為もどこまでを指すのかやどのように解釈するのかは実際にそのケース毎に変わってきますが、

基本的には狭義の実行行為の客観面だけをみることとなります。

いわゆる主観的(行為者の視点)にみてその行為がどうであるかではなく、

客観的にみてその行為が法益侵害にあたるのかどうかということです。

本人にそのつもりがなくても、客観的に見て犯罪行為にあたる行為だとなればそれは構成要件に該当する行為と言えます。

もちろんそれが実際に犯罪となるかどうかは、そのあとの行為と結果の因果関係や違法性阻却事由、責任要素が考慮されていくことになります。


この実行行為を明確化していくことで、〇〇犯であることを決定させることができます。

例えば結果はともなっていなくても、実行行為があれば未遂犯が成立します。

この未遂犯が成立するためには実行行為の着手という当たり前とも思える要件が実は重要な意味をもちます。

というのは同じようなものとして予備犯というのもあります。

また行為はあっても結果との因果関係のない不能犯というのもあります。

これらを明確に区別する為に実行行為という要件は重要なものとなるのです。


またそれだけでなく正犯と狭義の共犯との区別基準ともなります。

狭義の共犯とは教唆犯、幇助犯のことです。

狭義の共犯は、正犯が実行されて初めて成立します。

つまり狭義の共犯の成立要件として正犯の実行行為があるということです。

ということは実高校とは正犯を基礎付ける機能もになっているということです。


判例 ベランダ転落死事件

この実行行為についての重要な判例でベランダ転落死事件(東京高裁H13.2.20)があります。

男性が妻を包丁で数回突き刺し、ベランダに逃げた妻を連れ戻してガス中毒死させようしてつかみかかったところ、妻はこれを避けようとしてバランスを崩しベランダから転落死したという事件です。


この男性は包丁で数回刺した後は包丁を元の場所に戻しています。

また転落死の因果関係となる実行行為はつかみかかったという行為です。

しかしこのつかみかかった行為にはベランダから転落死させるためのものではありません。あくまでもつかみかかって部屋にもどそうとし、それを避けようとしたばかりにベランダから転落してしまい、結果として死亡ということです。

つかむという行為では殺すことはできないのは明らか、つかむという行為でできるのは暴行罪の成立です。

その結果的にベランダから転落というのを招いてしまったということです。

ということはこのつかむという行為からみたら205条の傷害致死の成立にみえます。


さてそこで判例は

結果である転落死と男性の主観にあるガス中毒死は、殺害方法は変化しているものの殺意としては同一であり、つかみかかったときも殺意は継続していた。(故意という認定)

であるならば刺突行為からつかまえようとする行為は殺意に基づく一連の行為であり

つかまえるという行為はガス中毒死させるために必要不可欠な行為であり、殺害行為の一部である。

(殺害という故意による実行行為の成立)

と判決されました。


ここ最近のこと

休職中はやはりあたまのなかで職場での理不尽が思い巡り巡ることばかりなかなか体も動きませんでしたが。

日頃の習慣に色々助けられた気がします。

本要約チャンネルを見る癖があり、それで感情は無意味、行動でのみ変化する。

当たり前のことですがやはり効き目バッチリです。

またちいかわのアニメにも心やわらいで助かりました。新刊がでるのが楽しみ。

4月から休職となり、4月の無給分の傷病手当は5月に申請しましたが、まだまだその後の動きはありません。

こうした休職中の手続き等についても随時更新していきます。

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