憲法「公務員の人権」

法律

みなさまこんにちはお疲れ様です。

公務員とは国家に属する人のことで特別権力関係にあたる一人です。

特別権力関係にあたるのは公務員の他に非収容者もあります。

非収容者はあらゆる自由が制限されているのは周知の事実かと思いますが、公務員にもその職務の性質上さまざまな制限があります。

 

公務員も国民ではありますが、その職務の中立性を保つことが必要不可欠となります。

これは公務員は国家行政の職務に就くからです。そしてこの行政に関するあらゆることは国会が制定したことです。

そのため行政に対して中立でいなければ、職務内容に影響がでる恐れがあります。

現在の日本が行なっている政党内閣制においては行政の職務の中立性が保たれてはじめて政策が忠実に実行されると言えます。

 

ですが公務員も国民であり感情のある人間です。

そのためもちろん政治・行政に対する不満も当然あります。

専門家やタレント、ユーチューバーなどが日々政治に対する意見を言っているように、公務員も同じようにあらゆる意見は持っています。

もちろん頭の中まで制限することはできませんし、そこまで国家が介入してはいけません。

そのため国家運営に影響を及ばさない限り思想の自由は保障されます。(憲法19条思想及び両親の自由)

 

では思うのは自由として、行動するのはどこまでが自由なのか。

この制限は判例がいくつかあり、判例結果も移り変わっているのが実情です。

基本的には政治的・宗教的に中立でなければなりません。

ですが国民であることには違いないので必要最低限の制約でなければなりません。

 

猿払事件(さるふつ事件)昭和43年3.25

北海道猿払村の郵便局員の政治活動についての判例です。まだ民営化以前の郵便局員は公務員でした。

さてこの郵便局員(公務員)さんは勤務時間外に機械的な労務提供である選挙用ポスターを配布しました。

これが政治的行為にあたるとして罰金の略式命令を言い渡されたというものです。

判決は一審で無罪となりました。(適用意見判決)

しかし最高裁で有罪判決という結論となります。

この最高裁判決では政治的行為の禁止が合理的でやむを得ない限度にとどまるものかどうかという判断として合理的関連性の基準によるものとしました。

この合理的関連性の基準とは

①禁止の目的

②目的と禁止される政治的行為との関連性

③政治的行為を禁止することにより得られる利益と禁止することにより失われる利益との均衡

以上3点から検討することです。

 

つまり職務上の立場や行為の内容を踏まえて行政の中立的運営と国民の信頼の確保に影響を及ぼすかということが検討されます。

他に世田谷事件、堀越事件という猿払事件と並んで大変重要な判例があります。

 

公務員の労働基本権は公務員によって様々ですが

全ての公務員において争議権(ストライキする権利)は否定されています。

それは公務員の職務が公共性を有するところから、その職務の停滞は国民生活に重大な影響を及ぼすことが理由です。

実際に警察や消防が争議権を行使したらば大変なことになります。

 

全逓東京中郵事件(昭和41年10.26)では

当時国営であった東京中央郵便局の局員の争議行為が問題となりました。ここでは争議行為の教唆にあたるのですが教唆でも同罪です。(共同正犯)

 

ここで検察は通常の争議行為についての条文ではなく郵便法で起訴し、罰しようとします。

(争議についての条文では違反しても罰則規定がないため)

 

ここで刑事免責は免れましたが、大事なのは

国家公務員や地方公務員も原則的には労働基本権の保障を受けるべきものとし、その制約については国民への利益保障という制約を内在的制約として内包しているにとどまる。

ということは全体の奉仕者論を否定されました。

 

しかしこれも全農林警職法事件ではまた注目すべき判例となります。(昭和48年4.25)

いわゆる公務員は給与などはすべて国会の決議によって決められているため、争議行為をすることは議会制民主主義に背馳する。ということで一律かつ全面的な争議行為の禁止を合憲としました。

つまりこれまでの判例とは異なる結果となったのです。

これ以降現在もこの判例の結論が続いていると言えるので

どのような立場や状況関係なく公務員の争議行為は全面禁止ということになっています。

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