みなさんこんにちはおつかれさまです。
学問の自由は日本国憲法で保障されていますが
このように学問の自由がはっきりと明記されている国は珍しいそうです。
それは日本国憲法制定時の日本の状況が影響しています。
学問とは真理を探究することにあり、この探究というのが人類にとってなにより有益です。
もちろん学問の結果が、社会に活用されるとは限りませんし、まるで役に立たないと思われる研究でも意外にも生活に欠かせないものになるなんてことはよくあります。
学問については探求することに意義があり、その良し悪しを決めるものではありません。
しかし明治憲法下の日本では学問や学説が国家権力によって直接侵害されており、戦時中に至ってはその侵害は激化を極めます。
こうした経緯から学問の自由が憲法で制定されました。
その具体的な内容は三つあり
・学問研究の自由 ・学問研究結果の発表の自由 ・教授の自由
以上の内容から問題となるのは当然大学です。
小学校から高等学校までではこのような自由が問題となることはあまりなく
学問研究の本場である大学が主な舞台となります。
学問の中心である大学が、その自由を確立するためには外部からの干渉を排除することが伴います。
これが大学の自治です。
大学の自治を認める明文はありませんが、学問の自由の保証の中に制度的保障として認められます。
この大学の自治を認めた判例としましては昭和38年の東大ポポロ事件です。
東京大学の劇団であるポポロ劇団が社会派な内容の演劇発表をするのですが、そこに私服警察が紛れており、それに気付いた学生が警察に暴行を加えたことで起訴されました。
ここで警察の大学に入っての警備公安活動は許されるかどうかが問題となりました。
警備公安活動とは、悪さをしていないか見て回るために一般人に紛れて警察活動を行うことです。
これが大学内で許されてしまうと、大学内で自由な学問発表ができなくなります。
もちろん大学内で暴行事件が起きるなど、事件解決のための警察の介入は当然に必要ですが
何も要請もないのに大学内での警備公安活動をするのはどうかということです。
もちろん秩序回復のためや犯罪捜査という警察としての活動ではないのに
大学の了解なしに警備公安活動のために警察官が大学内に立ち入ることは許されないといえるでしょう。
ではこの東大ポポロ事件はどうか。
判旨の中で大学の自治についてしっかりと認めています。
つまり学問の自由のために警察官が大学の了解なしに警備公安活動をしていはいけないということです。
しかしこの判例で、ポポロ劇団の活動はなんと
学生の活動は学問発表の場ではなく、大学自治とは関係ない行為であるとされました。
つまりこの活動に警察官が立ち入ったことは学問の自由と自治を犯すものではないとされたのです。
大学の自治は保障されているが、どこまでを大学の自治というのかは以上のような判例があります。
昭和38年という古い判例ではありますが
こうした判例をみると当時の社会状況といったものも伺えてきます。
今は学問や研究というのは大学だけでなく、むしろ企業の方が盛んになっています。
日本は学問研究という分野について世界的に遅れをとっていると言われていますがこれは紛れもない事実です。
企業内ではしっかりと保障されていますが、世界的にその保障はまだまだです。
そして学問研究という分野の保障となるともはや先進国では考えられないような水準です。
この学問研究の自由は法のもとではしっかりと保障されていますが
現実に自由に学問を研究できるようになっているとは言い難いかもしれません。
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