民法「弁済の提供」

法律

債権は弁済によって消滅しますが、この弁済というのも色々と規定があります。

債権の弁済は例えば金銭債権であれば、金銭を債権者へ現実の提供をすれば弁済となります。

そしてこれは特定物であれば特定物そのものを、つまり契約適合物でなければなりません。

 

もし不適合物であればそれは弁済の提供とは言えず、債務不履行や担保責任の問題となります。

 

ではここで債務者が他人のものを持ってきて勝手にそれを債権者に引き渡した場合(引き渡しはものは適合物)

これは弁済といえるでしょうか。

実はこれは弁済成立します。

例え他人のものを、持ち主の了承を得ずに引き渡したとしても、債権者がそれを知らずに受け取った場合はその弁済は有効に成立します。

そして「弁済の提供」には現実の提供と口頭の提供がありますが弁済の提供と弁済は少し違います。

 

弁済は完全に債権が消滅するための要件ですが、弁済の提供は履行遅滞責任に問われないための要件となります。

弁済期に弁済が終わらなければ債務者は履行遅滞となり、その損害金などが発生してしまいます。

しかし実際はちゃんと弁済しようとしたのにも関わらず、債務者の責任によらず弁済期がすぎてしまうことがあります。

それは弁済の提供があったということで履行遅滞から逃れられます。

 

さて弁済の提供の1つである現実の提供ですが

これは実際に債務者が現実にものを持って生きている状態で債務者はそれをただ受け取ればいい状態に置いて受領を求めることです。

ちゃんと家の前まできてものを持ってきているのに本人が約束の時間に現れなかったり、受領を拒否したりといったことです。

 

さてもう1つが口頭の提供です。

これは弁済の準備をして、そのことを通知して受領のを催告することです。

基本的には現実の提供がないといけませんがたとえば債務者があらかじめ受領を拒んでいるときや履行のためには債務者の行為が必要なときには、この口頭の提供で足ります。

 

そしてさらに確定期限付きの取立債務については口頭の提供すら不要となります。

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