憲法の中でも経済的自由権の中に職業選択の自由(22条1項)があります。
これはそのままで自分が就く職業を自分で選択決定できる自由のことです。
そして職業について判例では以下のように定義しています。
人の生計の維持に関わる社会的・経済的活動であるとともに、各人が自己のもつ個性を全うすべき場として、個人の人格的価値とも不可分の関連性を有する。
つまり経済的なことばかりではなく、個人の人格にもかかわる人権ということです。
それもそのはずで生活するためには現代の通貨社会ではお金を稼がなければ生きていくことは不可能ですし
そのためには職業に就くほかありません。
しかしこの職業は個人の能力や人格によって選択の幅は大きく変わりますし、自己表現の一つです。
この職業で人を判断するといってもいいくらいです。
そして職業を選択する自由だけでなく、実際にその職業で活動する自由も保障されなければなりません。
これを判例では職業活動の自由としてきちんと保障しているとしています。
(昔は営業の自由といわれていました)
これらは当たり前に自由だろうと思いますが、これにも限界があります。
職業選択の自由の限界は2つで消極的規制と積極的規制です。
端的にいうと消極規制は人の健康に関することで必要な規制、積極規制は経済的なことに関することで必要な規制です。
消極規制の代表的な規制は
クリーニング業や理容業の届出制
薬局開設、飲食店営業の許可制
医師、薬剤師などの資格制
があります。
では積極規制は
大規模小売店舗立地法の届出制
電気、バス、水道等の公益事業の特許制
旧郵便事業、旧タバコ専売の国家独占
消極規制はわかりやすいですが、積極規制は馴染みがあまりないかもしれません。
たとえばどこでも好きになんでもお店を作っていいとするならば、それぞれが競合しあって中には簡単に潰されてしまうお店もでてきてしまいます。
そこで距離制限が設けられているものがあります。
違憲として今はなくなりましたが薬局にはかつて距離制限があり、離れたところにしか作れませんでした。
銭湯は今も法律で距離制限がきめられています。
ではこれら職業選択の自由についての合憲性の判定基準はどうなるでしょうか。
精神的自由権については厳格な基準とし、経済的自由権については緩やかな基準とされています。
しかしこの職業選択の自由は精神的自由、経済的自由両方の要素を持っています。
そこで規制の目的によってその基準も分けられます。
消極目的規制については厳格な合理性の基準を
積極目的規制については明白制の原則を
そしてそのどちらでもない租税に目的については緩やかな基準で判断されます。
これらは具体例(判例)を通してまたまとめていきます。
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