さて表見代理とは無権代理だけれども、本人にも帰責性があることから、本来の代理行為として認めることをいいます。
もちろん本人が代理権を与えている、与えていないのに代理権を持っているということを示していること知って放置している、といった前提が必要です。
さて代理権を与えているならいいじゃないかということなのですが
代理権を超えた行為をしていることや、代理権を解除したのに行為をしている時、また相手が善意無過失であることも条件にあります。
つまり代理権を与えたら、与えられた人がそれを乱用しないようにしっかり管理しなきゃいけないということですね。
では代理権を付与し、その代理権があると信ずる正当な理由があるとして
その代理権の付与の仕方に不備あったとしたらどうなるか。
代理権は委任状という紙でしっかり示すことが多いです。
ではこの委任状に誰に代理権を与えたか、どの範囲の代理権がしっかり明記されていなかったらどうなるか。
これは重要な論点になります。
こうした白紙の委任状には二種類あります。
①転々委任状:委任状を誰が行使しても問題がないという趣旨の委任状
②非転々委任状:委任状を特定の者に与えた委任状
転々委任状を行使する場合110条の問題の処理となります。
非転々委任状についてももし白紙部分を乱用する場合は110条の問題となります。
ここで大事なのは白紙委任状の転得者が空白部分を濫用場合です。
ここだけすこし勝手が違います。
まず代理人の部分又は相手方の部分が濫用されたのみで、委任事項の濫用はないか、あっても顕著でない場合。
この場合は相手方保護となり取引成立です。
では委任事項の空白部分も顕著に濫用されている場合です。
この場合は109条の授権表示は否定されるべきことになります。
つまり代理行為は認められず相手方ではなく本人の方が保護される唯一の場合です。
それはいくら白紙であるからといって、あまりに好き勝手顕著に濫用されて、それでも本人に帰責性があるからといって常に相手保護としていてはどうなるか。
この規定では白紙の委任状があれば本人の名前でやりたい放題なんでも契約してしまいます。
それこそ家や車を買ったり何億ものお金を借りたり、しかもその効果は本人に帰属します。
もちろん脅されてこの白紙の委任状を作らされることもあり得ますので、これは本人保護となります。
最後に表見代理の大事な要件である、相手方が善意無過失であることですが
これは本人に相手方の悪意又は有過失の立証責任があります。
つまりこれを立証できなければ相手方は善意無過失となります
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