民法「動産の引渡し」

法律

不動産は登記が対抗要件でしたが

動産は引き渡しが対抗要件です。(178条)

 

さてこの引き渡しですが4つあります。

①現実の引渡し(182条1項)

②簡易の引渡し(182条2項)

③占有改定(183条)

④指図による占有移転(184条)

 

「①現実の引渡し」は日常的によくあるものの譲渡で現実にその物を渡したことです。

ですが動産の引渡しはこれだけではなくあと3つもあります。

 

「②簡易の引渡し」

これは占有は移転していたが、実際に譲渡の意思を示したときなどがあります。

例えばAからBへの簡易の引渡しがあるとしたらどんな場合か

まずAがBへ何かものを貸していた(賃貸)とします。

そしてしばらくしてこの賃貸していたものは正式に譲渡するとしました。

もちろんそのときにAとBの間で貸している物をそのままあげると言ったかもしれませんし、お金のやりとりがあったかもしれません。

さて譲渡すると言ったときにもう既に物はBのところにあるのですが、これで引渡しが完了ということです。

 

「③占有改定」

これはちょっとややこしい引渡しの例です。

これは現実の物の移動はないのですが、意思表示のみによって完結します。

例えばAとBとの間で、A所有の物でそのままAが所持しています。

この物をAはBに譲渡する意思表示をしました。(もちろんこの時にお金のやりとりなどの契約があったかもしれません)

しかしこのあと実際に物はBのところにいかず、Bはその物をもらったけどもうけとらずAに貸すことにしました。

つまりAはその物をもちっぱなしではあるけど、自分の物をもっている状態から、Bの物を借りている状態に変わりました。

これを占有改定といいます。

 

最後に「④指図による占有移転」です。

これも物の移動はないままで行われます。

例えばAの持ち物をどこかの倉庫など別のところに置いているとします。

この倉庫の持ち主はAではなくまた別のCとします。つまり管理しているのはCということにはなります。

さてAはこの手元にはないものをBに譲渡することにしました。

こうなるとAはCに、この物はBにあげたから今後はBのために倉庫においておいてくれということになります。

つまり物は移動していないがこうして引渡しが完了しました。

 

この4つはめちゃくちゃ大事な引渡しの態様となります。

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